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エアレーター空海 | Aerator Kuh Kai 日本産業機械工業会会長賞論文
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日本産業機械工業会会長賞論文


 1.開発経過
 食品加工場や化学工場等からの有機性廃水の処理は、従来から好気性微生物を用いた活性汚泥法によるものが主となっている。近年においては、コンパクトでコストの低減化を実現する技術開発が進められており、その中にあって原水の腐敗防止と水質の平均化、微生物処理槽における処理の高効率化に関する技術開発は長年を通して進められており、いまだに完成という域を見ない。対応策の一つとして、エアレーター(散気装置)の改良がある。多孔質材料、多孔板、可動板などを用いた気泡発生型のものは、設置場所や運転操作条件によって汚泥の堆積や孔の目詰りが発生する。これを防止するためには大きいエネルギーによって過剰の渦流を発生させることが必要となる。しかし、この方法はエネルギーの無駄である。これらの課題を解決するため、目詰まりや汚泥の堆積を発生させず、省エネルギーで運転可能なエアレーターが望まれている。
 そこで当社においては、エアリフト方式で、かつ五角形状の新方式のエアレーター(商品名:空海)を2006年(平成18年)に独自に開発した。廃水処理設備の新設はもとより、気泡発生型エアレーターの気泡吐出部の目詰まり改善、槽内の汚泥堆積改善、エア量削減によるコストの低減化など、他のタイプのエアレーターの不具合の改善を目的として引き合いに対応してきた。そして、これらの要望に的確に応えるために当社エアレータの更なる改良改善を目指した。技術開発の内容としては、エアレーターを槽底に固定する支柱への開口部の設置、本体筒高の変化、槽底と筒下端とのクリアランスの調整、エア配管の吐出口の設置位置の変化等を実施し、槽底の汚泥(模擬汚泥としてのビーズ)の流動状況を可視化水槽により観察し、各構造を2011年(平成23年)に最適化した(公益財団法人かがわ産業支援財団の「平成23年度かがわ中小企業応援ファンド事業新分野チャレンジ支援事業」によって開発したもの)。
 2.装置説明
2.1 構造、原理
 当社のエアレーターは、気体や固体などが混在する廃水において、各物質を完全混合すると共に廃水に対する酸素の溶解を効率的に行うことを目的として開発したもので、上下が同じ面積の五角形状の開口部を有する衝突板(図1)を上下方向に多段に筒内に配置し、当該筒下部に気体噴出ノズルと、設置場所底面と筒下部とにクリアランスを有した状態で構成されたものである(図2)。
      図1 衝突板の外観                 図2 エアレーターの概略図
 エアレーターの作用効果を図3に、実際の空気の吐出状況を図4に示す。気液噴出ノズルから噴出された気体は衝突板に衝突しながら筒体を上昇すると共に、当該筒体における気体の上昇に起因して液体が揚水し、かつ、この揚水に同伴して廃水中の固体などが筒体下部のクリアランス部分から筒体内部に侵入する。その結果、液体、気体、固体が筒体内部に共存し、更に衝突板の効果によって気体が微細化すると共に三者が完全混合する。
 図3 エアレーター内部における気液混合の状況          図4 エアの吐出状況
 図1に示した衝突板が円形に近い形状であった場合、円周に沿って流体が流れるため、円周方向における乱流が発生しにくくなる。多角形にした場合は、各辺に流れが衝突しながら進むために乱流が生じやすくなる。一方、三角形や四角形等にすると抵抗が大きすぎて周方向の流れそのものが発生せず、上方にのみ流れが短絡してしまう。結果的に五角形が最適な形状として決定された。また、衝突板の段数について上下方向の流れを考慮して検討した結果、最適な段数は5段に決定された。
2.2 特許の有無
(1)権利化されているもの
 意匠登録 第1304966号 衝突式散気管
 意匠登録 第1304967号 衝突式散気管用衝突板
 特許登録 第4907258号 気液混合装置
 商標登録 第5016052号 空海
 特許登録 特願2006-220164 気液混合装置
(2)申請中のもの
 PCT/JP2006/309694 気液混合装置 16.05. 2006
(3)今後の予定
  各種用途に応じて、材質、表面性情、その他機構などを改良して最適化した
 ものを検討中であり、それぞれ権利化を推進する予定である。
2.3 性能
 当社の実績の一例として、冷凍食品加工場(廃水日量 100m 3)において、エアレーターを設置(原水槽に2台、曝気槽に6台設置)した例を模式的に図5に示した。これは、当該冷凍食品加工場の排水処理設備において微細気泡を発生させる多孔質タイプの散気装置を用いていたものの性能改善を目的として取り組んだものである。運転結果の概要を表 1に示した。当社エアレーター導入後に水質が向上し、かつ1年を経過した後も処理性能が維持されていることが確認された。更に多孔質タイプのエアレーター使用時の1週間平均の電力使用量は1,320kWhであったが、新型エアレーター導入後には1,075kWhとなり、約19%の電力削減が実現された。
図5 エアレーターの設置状況
表1  エアレーターの運転結果の一例
2.4 維持管理
 廃水処理設備におけるエアレーターの選定基準は次の通りである。原水槽においては、主たる目的は固形物の沈降と滞留による腐敗防止と水質の均質化である。そのため、エアレーター下部からのエアリフト効果に起因する流体の吸い込みによる撹拌効果を優先的に考える。設計基準は1台当たりの受け持ち面積(流体の吸引可能な面積)である。曝気槽においては、主たる目的は活性汚泥への適正な酸素の供給である。設計基準は酸素の溶解効率(水深に応じて2~17%)である。この結果から分かるように当社エアレーターは、撹拌能力と酸素の溶解効率のそれぞれを設計基準とすることが可能である。参考までに、一般的な活性汚泥法を適用した曝気槽において、微細気泡を発生する多孔質タイプと当社のエアレーターを使用した場合の比較を図6に示した。
図6 当社エアレーターの汚泥堆積防止効果
 多孔質タイプのものはエアリフト効果がないためにエアレーター下部に汚泥の堆積が発生しやすい。それに対して当社エアレーターは汚泥の堆積などの不具合を防止でき、長期に安定的な性能を発揮することができ、維持管理が容易であると言える。例えば、2006年(平成18年)に長野県の食品加工場の排水処理設備に設置した第一号機は現在でも目詰まりがなく、安定稼働中である。
 曝気槽内で継続して対流を起こすことで、エアレーター本体に汚泥の付着を防ぎ、目詰まりもないことから、基本的に(エアレーターの)メンテナンスは必要ないと考える。また多孔質タイプと違い、開口部が大きいので間欠運転が可能である。微細気泡発生タイプのものは、酸素の供給を止めると負圧になり、瞬時に目詰まりが発生する。当社エアレーターは、もし過曝気の状態になったとしても、酸素の供給を自由に止めることが可能であると共に、エア量の増加にも対応できるのでどのような処理場でも使用可能である(配管径:40A/KA-L型)。
2.5 経済性
 前述の2.1~2.4にも示されている通り、安定的な性能の持続(2006年に設置した第一号機は現在でも目詰まりなし)、使用エネルギーの削減(約19%の電力削減が実現)、維持管理の容易性などを達成できる。ある食品加工場では当社エアレーターの導入前後で、廃水処理費用が4割削減できた。ここで注意したいのは酸素の溶解効率などの個別のデータを比較することについてである。微細気泡を発生する多孔質タイプのエアレーターにおいては、酸素の溶解効率だけを比較すると当社散気管よりも高い値となるものがあるが、前述に示したように本来、エアレータは廃水の撹拌と共に酸素の溶解効率を考慮する必要がある。当社のエアレーターは撹拌効果と酸素の溶解を同時に併せ持つ指標としての値である。
2.6 将来性
 有機性廃水の処理に関する新型散気管の適用範囲を、これまでの実績を元に示す。食品加工場の他に、畜産農場、屠畜場、染色工場、農業集落、共同調理場など、幅広く適用されている。特に、豆腐業界からは弊社の散気管が高く評価され、業界誌で紹介された。そして、2011 年(平成23 年)の改良以降、順調に改良型の散気管が販売されており、現時点では交渉中のものも含めると累計300 台を超えている。何より注目したいのが、先の実例紹介でも示した通り、引き合いのほとんどが廃水処理設備において微細気泡を発生させる多孔質タイプの散気装置を用いていたものの性能改善(目詰まり防止とランニングコストの低減化)を目的として取り組んだものであるということである。
 また現在、国内外で酸素の溶解効率と撹拌力を両立したエアレーターはなく、ドイツやフランス、カナダなど海外の企業から問い合わせがあり、海外への展開も視野に入れている。
 機械撹拌ではプロペラの故障などのトラブルが懸念されるが、シンプルな構造と気体を利用した撹拌のため、今後は廃水処理だけでなく生産ラインでの使用も見込まれる。
2.7 独創性
 種々の特許と意匠が登録され、これまでに汎用されてきたタイプに代わるものとしての設置という客先からの要望等からも分かるように、当社エアレーターの独創性は既に証明されていると判断している。その一つとして、多孔質タイプのものと比べると圧力損失が少ない。配管は筒下部に設置しており、噴出した気泡は筒内部に導入される。圧力が加わる箇所がないので非常に効率的である。また、これまでのエアレーターは水深が深いほど酸素の溶解効率は上がる。逆に水深が浅いと溶解効率は下がってしまう。当社エアレーターにおいては、筒内部に設置された衝突板で液体、気体、固体が撹拌されることによりそれぞれが微細化され、溶解効率が上がる。水深は1m以上あれば稼動できるということも特徴である。
2.8 今後の規制に対する対応策
 水質の改善等やコストの低減化に関する要望に対し、対応が可能である。
 3.応用分野
 活性汚泥処理における酸素の供給以外に、脱窒槽などの嫌気槽における撹拌についても問い合わせが増えている。運転操作の間欠運転化への対応も求められている。例えば、食品加工場において製品の生産量の調製に伴い排水量が安定しない場合には設備の間欠運転が求められる。従来の微細気孔型の散気管では停止中に気孔が閉塞するという不具合が多発していたが新開発の散気管は開口部が大きいために閉塞しない。最近では廃水処理以外に製造プロセスにおける使用に関する引き合いが増加してきている。例えば、①食品素材の無酸素条件における撹拌混合、②化学薬品原料のイオン化、③流体の冷却、などである。いずれの場合においても各運転条件において散気管の運転方法はもとより、素材についても新規に検討を開始している。耐腐食性のオールステンレス製、サニタリー形式の仕上げを有するもの、オールプラスチック製、その他特殊な表面形状を有するものなど様々な開発が進行中である。
 なお、現在までに10社以上の企業から問い合わせが殺到している。
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